川の環境と文化は全国一律ではなく、それぞれ個性的でローカルな存在です。矢作川の個性を研究し、活かし、その流域の環境と文化を私たちが享受するための道筋として、ここに以下10項目の「矢作川宣言」を提起します。
1.毎年5月の第2土曜日を「矢作川の日」と定め、この日を中心に、矢作川の清流を取り戻す流域市民の活動を展開し、人は川とどう付き合えば良いかを考えます。
2.「矢作川の日」は、子供たちを川に呼び戻す日でもあります。小川や支流での川遊び、本流での魚釣りの復活に努め、そのための環境整備も提案します。そうした河川網づくりによる水辺環境整備を地域づくりへ発展させたいと考えます。
3.森・川・海一体の広い視野で矢作川の河川環境を考え、特に森・川・海を往来するアユ、サツキマス、ウナギ、カニ等の回遊性の水生生物の生息環境を重視します。矢作川の水生生物の研究・繁殖保護機能を兼ねた矢作川水族館の創設を提案します。
4.矢作川の清流の源は「源流の森」にあると認識し、源流の森の研究をすすめ、都市市民の協力による森林整備を呼びかけます。
5.市民の水辺利用を無制限に拡大せず、野生生物の生息空間も確保する方向で、矢作川での「人と自然との共生」のあり方を調査研究します。流域市民が末永く誇り得る「質の高い矢作川環境」を創造するためです。
6.矢作川はダム群による貯水、取水で徹底利用されている全国的にも珍しい川です。「良く利用され、なお美しい矢作川」を実現するために、河川環境に配慮したダム運用のあり方について研究し、提言します。
7.「矢作川学校」を開設します。矢作川の河川環境や川の文化を守り、継承する人材を養成し、さらに内水面漁業の未来の担い手である少年釣り師たちも育てる川の学校です。「矢作川学校」の開設と運営に積極的に参加します。
8.河川利用の市民モラルの確立や、河川環境の改善、水生生物の産卵・繁殖保護等のために、豊田市を中心とした河川関係団体で、総合的な河川の案内・指導・監視組織「仮称・矢作川レンジャー」を創設するよう提案します。
9.矢作川「川会議」は豊田市内の中流域でスタートしましたが、豊田加茂広域圏全域での活動をめざし、矢作川流域をはじめとして全国的な交流活動も行います。
10.矢作川愛護の市民団体は、国・県・市町村の河川管理、豊田市矢作川研究所の河川環境研究に積極的に協力します。矢作川流域の緩やかな連携にむけて、ネットワークの核になる矢作川「川会議」の事務局を豊田市矢作川研究所内に置きます。
平成13年5月12日
矢作川「川会議」実行委員会