矢作川流域の中でも豊田市は古くから川の自然に対する市民の意識が高く、行政も市民意識の啓発やコミュニティづくりに取り組んできました。1978(昭和53)年に制定された「豊田市民の誓い」の最初の一節は「緑を育み、川を大切にして豊かな自然を愛しましょう」となっています。1991(平成3)年には近自然工法による古鼡水辺公園の整備が開始され、その公園管理のため地元有志による水辺愛護会が発足しました。
折りしも21世紀初頭の2001(平成13)年には豊田市制50周年、矢作川漁業協同組合創立100周年、近自然工法による古鼡水辺公園整備着工10周年、矢作川筏下り大会15周年を迎えました。この4団体が発起人となり、矢作川「川会議」の実行委員会を組織しました。現在の実行委員会の構成団体は以下の通りです。矢作川研究所は構成団体の一角を成すとともに、実行委員会の事務局を担っています。
矢作川を筏で下る会*、古鼡水辺公園愛護会*、波岩水辺公園愛護会*、石倉水辺公園愛護会*、アド清流愛護会*、梅坪水辺愛護会*、御船せせらぎ広場愛護会*、西広瀬町矢作川水辺愛護会、富田水辺愛護会、有問竹林愛護会、児ノ口公園管理協会、矢作川天然アユ調査会*、矢作川漁業協同組合*、矢作川水族館、NPO法人矢作川森林塾、愛知県豊田加茂建設事務所河川整備課、豊田市河川課*、豊田市矢作川研究所*
*は創立当時の構成団体
河川の良好な自然環境を保全する住民活動の定着を図ることは、環境の時代といわれる21世紀の重要な課題といえます。矢作川「川会議」実行委員会は、矢作川流域の自然環境保全活動を続けている諸団体ならびに関係機関が協力し、これからの活動のあり方を話し合い、「森~川~海」の健全な水循環を目指して共通認識を作り、矢作川流域の良好な河川空間の保全、復元に寄与することを目的に掲げています。2001(平成13)年5月12日に開催された第1回の「川会議」では「矢作川宣言」が採択されました。その後「川会議」は回を重ね、2010(平成22)年には第10回を数えています。また「川会議」は2002(平成14)年、子どもたちに川を理解してもらうため、小中学校の環境学習や住民団体への講師派遣、川ガキ養成イベントを担う「矢作川学校」を開校しました。
「川会議」実行委員会のメンバーは豊田市外での環境保全活動にも積極的に参加し、諸団体と交流を深めています。第4回「川会議」で田原市西の浜でクリーンアップ活動を行っている「亀の子隊」が基調報告を行ったことがきっかけとなり、以降「亀の子隊」の清掃活動に協力するようになりました。また、「愛知・川の会」との連携や2007(平成19)年に開催された「第12回水シンポジウム2007 in あいち」市民実行委員会での企画・運営、2003(平成15)年以降の国交省豊橋河川事務所の「矢作川流域委員会」、「矢作川流域圏懇談会」に参画しています。
矢作川「川会議」は、「いい川・いい川づくり」の選考会である「川の日」ワークショップの第4回大会(2001・平成13年)でその活動を評価され、グランプリを受賞しました。それを受けて、第8回の「川の日」ワークショップ大会は、これまでの開催地であった東京を離れ、矢作川で行われました。この「第8回「川の日」ワークショップin矢作川」の準備・運営は主に矢作川「川会議」実行委員会が担当し、当日の参加者は全国から600人を数えました。